特殊なご依頼のお客様

この日のツアーはとっても特殊な感じ。 カナダに在住の娘(血縁関係なし)と称するかたより、日本のお年寄りご夫婦をご案内して欲しいとのこと。 カナダには6回来ており、今回が7回目だとか。 パッケージツアーなどで行くような、観光客でにぎわっているような場所には好まず、ゆっくりされたい。 そんなザックリとした依頼でした。 事前に何度か、娘と称するカナダ人とメールでやり取りするも、どの提案もあまり乗り気ではない様子が伺えるなか、ツアー当日をむかえました。
基本はカルガリーからバンフの送迎。 そこになにか見て回れる所を入れると言うもの。 日本からのお客様が楽しまれるか否かで、時間が延長される可能性があるということ。 つまり、お客様とお会いして瞬時に会話の中からヒントを見つけながら、その場でプランを立てる。 最も厳しいものの、最も楽しく、やりがいのあるツアー。

高温警報が前日より出ているカルガリー。
まずは朝のお散歩をご提案。 ご主人様がカメラを首から下げている姿、ウォーキングをしやすい格好や靴をみて、即座にご提案。
幸先よく、お散歩にお客様が好反応をみせてくれました。

カルガリーのダウンタウンから僅か2キロ程の場所にある、野鳥保護地区。
ご主人様は野鳥観察もお好きなのだとか。
水辺の鳥や木々の上で囀る鳥を楽しみながら、森のなかを皆さんでゆっくり散策。

途中、ビーバーダムも見る事が出来ましたし

望遠レンズを持っていなかったので写真で分かるかどうか、3頭の鹿にも出会うことができました。
1時間以上かけて、お散歩をしながら奥様ともお話をして、ファーマーズマーケットにご興味があるという情報を得ることができました。
ただ、カルガリーファーマーズマーケットは駐車場の混雑と建物内の混雑は好まないだろうと、カナダ人の娘の意見から、別のファーマーズマーケットをチョイス。

青空市場のようなこちらのファーマーズマーケット。
お客様はとっても気に入られたようで、果物を買われたり、ナッツ類やクラフトなどを購入されたりと、一店一店楽しまれていました。
このマーケットにお連れしたのは、もう一つ布石があってのこと。
事前のやり取りで、ワイナリーツアーのご提案をしていたのですが、「あまり興味が無いんです」というカナダ人娘の話から、ワイナリーへ行く事は諦めていたのですが、カナダ人でも殆どの人が知らない素晴らしいワイナリー。
そのワイナリーが出店しているため、是非とも試飲をしていただこうと…
そのワイナリーのブースの前を通ると、お酒好きのご主人様がふらっと試飲を開始。
『このワイン凄いね。』
この一言をきっかけに、お客様にお伝えする。
「このワイナリーをご紹介しようと思っていたんです。」
その言葉に、『じゃぁ、これから行きましょうよ。』
とお客様は行く気満々。
当初の4時間程度の予定でしたが、お客様が。
『延長しても良いんでしょ。払いますよ。』
とのお言葉。
もちろん、お客様が楽しまれるのでしたら、お付き合いするのがガイドの仕事。
そこから急遽、スマホでワイナリーツアーの予約を完了。
『ワイナリーに行くと買い過ぎちゃうから、今回事前のお誘いをお断りしたんですが、こんなワインがあるのでしたら是非とも行ってみたいですね~』と。
ご紹介しようとしたこちらとしてもうれしいお言葉。
カナダのワインと言えば、オカナガンバレーか、ナイアガラ。
でもカルガリーの近くにも、実は…

ワイナリーへの道中、お昼を迎えることからカウボーイトレイルにある人気のカフェへ。
しかしそこはスタンピード期間ということもあり、大変な賑わいを見せており、順番待ちの人が多く30分以上待ちとのこと。 そこでカナダ人娘にテイクアウトをお願いし、昼食の受け取りをしてもらっている間に、日本のお客様と街をぶらぶら。
昼食は近くの公園のピクニックテーブルで。
ここのカフェは、自家農場を持っており、責任もって育てたグラスフェッド牛を使用。
ここのハンバーガーを食べたお客様は、肉厚+ジューシー+うまみたっぷりのハンバーガを大変喜んでいらっしゃいました。

昼食が終わった後は、ワイナリー見学ツアーへ。
ファーマーズマーケットでも全てのワインを試飲しましたが、このワイナリーのこだわりや製法などを学んでからの試飲はより格別だったようで、結局4種類のワインを購入されていました。

ワイナリーがある場所は、50年以上も前から農薬などが使われていない農場が集まる一画にあります。
自然本来のありかた、力を信じて、自然に頼った農法をしている場所。
そんな中で、自然の力を最大限に利用し、化学薬品などに一切頼らずに作られているワイン。
自然の力を見せつけるワインは唯一無二の美味しさ。

ワイナリーを楽しんだあとは、本来の目的であるバンフのホテルへ。 ホテルへ行く前、サプライズコーナーとボウ滝によって記念撮影。

結局、4時間の予定が9時間のサービスに。
カナダ人娘も、これまで知らなかった場所ばかりだったようで、日本のご両親のお世話をするだけではなく、ご自身も新しい発見に楽しまれておりました。
次回は、もっと長くカルガリーに滞在し、カルガリー周辺の新たな魅力を紹介して欲しい。
そんな言葉を頂き、お別れいたしました。
ガイド会社が提案する日帰りツアー。
これはどちらかというと、その場所のハイライト的なツアー。
旅行のパンフレットやガイドブックに掲載されている場所を効率よくめぐるツアー。
それに対し、今回のような、海外旅行に大変慣れているお客様は、ガイドブックに掲載されているような場所とは異なり、ご自身の興味などを反映したツアーを好まれる傾向にありますね。
旅行会社のマニュフェスト的な、上から目線の提案ではなく、ご旅行の主人公であるお客様の楽しいを実現するツアー。
ツアーガイドとしては大変かもしれませんが、最も楽しいツアーでもあります。
インターネット上では、パッケージツアーを切り取ったような日帰りツアーしかご提案できませんが、お客様のご興味に合わせてこんなオリジナルなツアーをご提案することも可能です。
ご希望の方は、専用車プランからお申込みください。